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建築基準法第12条に基づく定期点検におけるドローン活用
― 自治体様に広げたい最新の点検手法 ―

建築物の安全性を確保するうえで、建築基準法第12条に基づく定期報告制度は欠かせません。特に外壁や屋上、屋根といった高所の点検は、従来から足場の仮設設置やロープ、高所作業車を用いた作業が中心で、「コスト・安全性・効率性」の面で課題がありました。
近年、これらの課題を解決する手段として注目されているのがドローン(無人航空機)による点検です。自治体様の声として「事業者の活用を認め、実際に運用可能なのか」と検討する場面が増えております。しかし課題解決ができる便利なものが、なぜ急速に広まらないのか、民間企業の営業目線・技術者目線・自治体ご担当者様の立場からも考え、ご案内したいポイントを紹介します。(今回は12条点検の中でも特定建築物定期調査の外壁全面打診調査に特化した内容です。)
【はじめに:ドローン点検が注目される理由】
①コスト削減
足場仮設工事等が不要なため、従来の点検に比べて30〜70%程度のコスト削減が見込まれます。大規模修繕まで待たずに点検を検討できるのもポイントです。
②安全性の向上
仮設足場設置を伴わないため、点検作業員の墜落リスクが大幅に低減します。事故防止の観点から評価が高いポイントです。
③ 点検工程の迅速化
短時間で広範囲を撮影でき、数日かかっていた現場工程が短縮され、施設利用者への負担も軽減されます。災害などで破損した箇所の緊急調査にも有効です。
④ 高精度な記録の保管
高解像度の可視光カメラ及び赤外線カメラを搭載するため、
・外壁タイルの浮き
・ひび割れ
・白華現象 などを高精度に客観的なデータとして記録できます。
【建築基準法第12条点検における位置づけ】
ドローンはあくまで「点検のための手段」として位置づけられます。
重要なのは、最終的な判断は資格者が行うという点です。
以下の点を整理しておくとスムーズです。
● ドローン可視光カメラ撮影で「目視点検の代替」となる
ドローンが点検箇所へ近づき高解像カメラで撮影するため、従来の双眼鏡による目視と同等以上の確認が可能。(クラック、白華現象、コーキングの剝がれ、サビ、汚れなど)
●ドローン赤外線カメラ撮影で「外壁打診点検の代替」となる
主に「外壁タイルの浮き」を赤外線カメラで撮影し解析することにより判定可能。
● 報告書様式は従来通り
ドローン活用の有無に関わらず、定期報告書の様式は法令に準拠します。
【自治体様が検討すべき運用ポイント】
ードローン活用の可否基準ー
自治体として、以下のような基準を設けると事業者とのやり取りが明確で円滑になり得ます。
《用意しておくと良いもの》
・建物規模(外壁面積があるとスムーズ)
・点検対象箇所図面
・前回の報告書の有無
・カメラに必要な性能提示(解像度、空間分解能または瞬間視野角、温度分解能) など
《事業者へ要求するもの》
・安全飛行の確保方法(人口密集地での飛行が多いため)
・国交省航空局の飛行許可(包括許可の取得状況)
・操縦者の技能証明、赤外線画像解析者の技能証明、12条点検資格者の証明
・機材の性能や点検方法が記載された計画書
・賠償責任保険(対人、対物等)の加入状況 など

《ジンダイの許容範囲》
・ドローンによる可視光撮影及び可視画像解析
・ドローンによる赤外線撮影及び赤外線画像解析
・外壁打診及び目視調査
・高所作業車による外壁打診及び目視調査
・ドローン噴射装置による簡易修繕(外壁浮き、黒サビ転換剤塗布、コンクリート含浸剤塗布など)
・手持ちの赤外線カメラによる赤外線撮影及び赤外線画像解析
・ロープアクセスによる外壁打診調査及び目視調査(要相談)
・ドローン係留装置による暴走対策
※上記の内容は、ご希望や点検場所の環境により組み合わせをし、打ち合わせで最善策検討をさせていただきます。
《その他:災害時の活用》
地震・台風後の緊急点検においてドローンは非常に有効です。
災害協定を締結しているとさらに迅速な対応が可能になります。
【まとめ】
ドローンを活用した建築基準法第12条点検は【コスト・安全性・効率性】の面で大きなメリットをもたらします。
技術の特性と事業者の許容範囲を理解したうえで、「点検基準の明確化・安全運用のルール整備・事業者の選定基準」を検討していただくことで、より実効性の高い仕様設計を構築できると考えます。
今後の技術運用を検討するうえで、ぜひ参考にしていただければと思います。
また私共は「自治体様の負担や悩みを解決したい!」と、日々熱い気持ちで研鑽しておりますので何でもご相談くださいませ。
2026年2月12日
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